『あの日にドライブ』(荻原浩)
荻原浩の『あの日にドライブ』を読んだ。
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あの日にドライブ (光文社文庫) 著者:荻原 浩 |
元都銀のエリート行員の主人公は、今はしがないタクシードライバー。自分の過去の実績にプライドを持ち、現在の仕事に自分自身納得がいかない。自分の本来あるべき姿を妄想しつつ今日もタクシーを走らせる。
誰しも考えたことがあるテーマ、「あのときこちらを選択していれば・・・。」を常に考えながら主人公はタクシーを走らせる。「現在の妻とではなく、当時付き合っていた女性と結婚していたら・・・。」とか、「仕事を辞めずに続けていたら・・・。」とか‘たられば’ばかり考える主人公だが、誰しも一度は考えたことのあるテーマで、なんだか共感できる。そんな中でも現在の自分の仕事を前向きに進めていく主人公の行動はもうひとつ共感できる。ちと妄想癖が強いけど・・・。
とっても面白くて夜更かしして読んでしまった。主人公はわたしと同年代で、自分の人生と重ね合わせてしまう。主人公の気持ちがよくわかる。主人公の気持ちの機微をうまく表わしていて秀逸な作品だ。なんだか荻原浩にはまりそうな予感。
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