『吉里吉里人』(井上ひさし)
井上ひさしの『吉里吉里人』を読んだ。ちと古い作品で、確か高校生のころ読もうと思って買ったのだが、その長さに疲れて挫折し、本棚に埋もれてたのを引っ張り出して読んでみた。
ある日突然、岩手県にある吉里吉里村が日本からの分離独立を宣言する。吉里吉里村は、保有する大量の金を背景に兌換通貨を発行したり、世界最先端の医学をもって独立を目指すのだが・・・。
ある村が、一方的に日本からの独立を宣言するという発想がとっても面白い。物語は、たまたま吉里吉里村の独立に居合わせた三流作家を中心に、コミカルにアイロニカルに描かれていく。(当時の)日本の問題点を炙りだしつつ、いろんな切り札をもって独立に突き進む村人たちを生き生きと描く物語。
ただ、ちと冗長すぎるきらいがあって、その点がとっても残念。せっかく面白い発想なのに、話がかなり遠回りしてしまって、読むのに疲れてしまうぞ(本題からずれた話が多すぎ)。まぁそれも作者の意図なんだろうけど・・・。それでもなかなかに含蓄のある作品で、読んでみる価値はあるかな。
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