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2006年10月 6日 (金)

『最悪』(奥田英朗)

奥田英朗の『最悪』を読んだ。6百頁を超える力作で、なるほど“最悪”な話だ。

最悪 Book 最悪

著者:奥田 英朗
販売元:講談社
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町工場を営む中年の男、都銀に勤める若い女子工員、毎日パチンコをして暮らす若い男、一見何も接点もないこの3人の生活が、ある銀行強盗事件を基点にひとつにつながっていく・・・というお話し。

最初から8割位のところまでは、別々の人生を歩む3人のそれぞれの日常・生活を細かいところまで丁寧に、リアルに描いていく。まるで3つの別々の小説のよう。その3つの小説が銀行強盗事件を境にひとつの物語に収斂していく、そしてそこからは一気の展開。読み出したら止められない。

とっても面白い作品で、非常に丁寧に、リアルに描いていくものだから、一気に引き込まれてしまって寝る間を惜しんで読んでしまった。とくに私の場合、年齢的にも職業的にも町工場を営む中年の男の気持ちがよくわかるだけに、妙に感情移入してしまった。ただ彼の行動はちょっと思慮不足なところがあって、私は理解できないんだけど・・・。

この作者の描くさりげない日常は非常に丁寧で、リアルで、ホントうまいなぁと感心したよ。

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