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2006年9月12日 (火)

『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』(小堺桂悦郎)

先日本屋さんの店頭でタイトルに魅かれてつい買ってしまった『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』(小堺桂悦郎)を読んだ。サブタイトルが「誰も教えてくれなかった!裏会計学」となっていて、どこやらの会計士が書いたさおだけやがどーしたこーしたの二番煎じってのは買う前からわかっていたわけだが・・・。

なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?誰も教えてくれなかった!裏会計学 Book なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?誰も教えてくれなかった!裏会計学

著者:小堺 桂悦郎
販売元:フォレスト出版
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この作者は元銀行員の会計コンサルタントって肩書きなのだが、かなり頭が悪いとみた。少なくとも、個人事業主である私は「こんなアホなコンサルには絶対頼まんよ!」というくらい内容のない本だ。まずタイトルの「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?」は「なぜ、社長のベンツは2ドアじゃないのか?」という設問の裏返しなワケだが、この自らの設問に対してこの作者は明確な解答を用意していない。そりゃ文脈からなんとなくわかりますよ、「2ドアだと税務署が認めてくれない」ってことくらい・・・。でもね、わざわざタイトルにまでしたんだからきちんと説明してほしいわけよ読者としては、実例を挙げるとか税務署の見解を聞いてくるとか・・・。まさか作者の勝手な妄想じゃないだろうね。

一事が万事この調子で書かれていて、どうも信用できない話しが多い。特に第五章「なぜ、ラブホテル経営者は税金を払わないのか?」にいたっては、この設問に対する解答がまったく見つからない。「どこかの文脈のなかにそれらしい理由が書かれてるのでは」?と好意的に探しても見つからない。まさか「払いたくないから」ってんじゃないだろうね?

そもそもこの本は、「何を、誰のために」書いたのかがよくわからん中途半端な本だ。ベンツの話しに出てくる“減価償却”、“耐用年数”だとか“リース利用による一括損金(経費)処理”なんてことは中小企業経営者や個人事業主には常識だし、逆に簿記や会計知識に乏しいサラリーマンには少々難しい話しだ。また話に一貫性がないため、作者が言いたいことが全然伝わってこない。

普通に読めば、この作者かなりいいかげんに書いているか文章を書く能力が著しく劣っているかのどちらかだとすぐにわかるのだが、その程度のものを本にしてしまうなんてこの出版社自体がかなりいいかげん。タイトルで惹きつければ売れるだろうという安直な経営姿勢だな。まぁ騙された私が偉そうなことは言えないが・・・。少なくとも私はフォレスト出版の本は二度と買わない。

ただ全部がひどいってワケじゃなくて、なかには「なるほどー」って感じながら読めるエピソードもあるにはある。軽ーく(軽薄って程度の意味ね)読む分には悪くはないが1,470円は高すぎだ、せいぜい300円、大目に見ても500円程度の内容だ。会計学の本だと思って読むと腹も立つが、税金にまつわるヨタ話だと思えばちょうどいいのかもね。

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